大野城の住宅

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場所
福岡, 日本
2000


撮影:岡本公二



都市周縁部の低層住宅地に建つ若夫婦のための住宅である。

直方体のボリュームをもつ建物を、二つの面を白と黒で塗り分けられたプレートで構成した。プレートは生活空間を包み込みながら展開し、暗く落ち着いた場所、明るく開放的な場所、眺めのいい場所という3つの場所を作っている。それぞれの場所は、寝る、くつろぐ、仕事するという生活行為に対応しているが、季節の変化によって、あるいは家族構成やライフスタイルの変化によって、場所と生活行為の関係は変化するだろう。ただ変わらないのは、豊かな生活には性格の異なるいくつかの場所が必要だという事実である。

敷地は狭い袋小路の突き当たりにある。夫婦ともハングライダーが趣味のため、車から積み降ろしできるように玄関前の庇下にラックを取り付け、車を回転するために西側に庭をとった。この庭は1階の土間へとつながり、プレートの黒い面で包まれた暗く落ち着いた1階の室内に光と奥行きを与えている。一方、建物の東側には小学校のプールがあり、建て込んだ周囲の環境の中で貴重な空地となっている。主要な居室がある2階は南側に大きな開口を持つが、ロフト部分を宙に浮かせることで東側にも視線を解放し、プール越しに遠くの山並みまで見渡すことができる。高さが低くおさえられたロフト下は、座るための場所である。趣味のオーディオを聞いたり、寝転がってテレビを見たりするのに結構居心地がよいのではないかと思っている。その上のロフトは奥さんの仕事場として使われていて、ここからは北の空から南の山まで見通すことができる。建物の竣工後に気がついたことだが、実は最もよく見えるのが近くの空港へ着陸する飛行機だったために、さながら管制塔の気分である。

建物を作ることは生活空間をパッケージングすることではないかと思うようになった。

<つつむ>あるいは<ひらく>という操作の中で、いろんな魅力的な場所たちを作ってゆけるのではないか。コンテクストやプログラムの違いによってかたちは変わるのだろうが、ある形態操作の取り決めを守ることで、こうした場所たちを包み込む一体感ある建物ができるのではないかと思う。これは建物の大きさや機能に関係なく使える計画手法だと考えている。

 

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